第15話

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「……ありがとう」 両手で持ち上げ、るいの前に差し出した。片手で軽々と受け取り、笑顔を向けた。 ――やっぱりるいは美少年だね。あの笑顔で惑わされてしまう……。 ふと、粘りつくような視線を感じ、辺りを見渡すと、クラスメイトの女子も男子も、こちらを注意深く監視していた。特に秋山は眼光を鋭くし、いつものように、パンをこちらに投げつけそうな目だった。 思わず、その怖い視線から逸らした。 ――大丈夫、大丈夫よ、もう傷つけられることはないんだから……。 怖くない。卒業するまでの我慢よ。 「山田綾」 その声に振り向くと、神谷君が背後に立っていた。
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