第15話

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「少しだけ、僕の話を聞いて……そのまま前を向いていて」 神谷はしゃがみ、小声で私に語りかけた。 「ど、どうしたの神谷君?」 「君を好きで襲ったんじゃないんだ。あの時はごめん……るいには気をつけた方が良いよ……僕はるいを親友だと思っているけど、怖い一面も持ってるんだ。きっとたえら……」 「おい! なにこそこそ、隠れてんだぁー神谷? 綾に文句でもあるのか!? え!」 食器を片付けたるいが戻り、神谷の気配に気づいたようだ。 「ち、違うよ。綺麗な綾さんの背中に、ちょっと大きめな糸くずが付いていたから……」 2人は普段から仲が良いはずなのに、神谷君を睨むるいは、厳しい表情だった。  「るい、本当よ。糸くずを取るよって……それだけよ? 怒るなんて変よ?」 おかしな空気が辺りを漂う。慌てて取り繕った。 「そう。それなら良いんだけど」 私には笑顔を向けた、るい。でもなんだかいつもと違った。なにがと、聞かれれば答えられないけど、勘と似た類いのモノだった。 「るい、邪魔をしてごめんね。僕、もう行くから」 苦笑いの神谷は、慌ててこの場から立ち去ろうとした。 「神谷、今日も一緒に帰ろうな」 「……分かったよ」 ――2人は本当に仲が良いの?
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