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ガタッと思い切り椅子を引き、立ち上がる。りんと父は、ビクリと反応し見上げた。私はそんな2人を、冷たい目で見下ろした。
「もう、学校へ行く。行ってきます」
「いってらっしゃい、気をつけて」
「車には気をつけるんだぞー」
ここにいると、私は何の為に生まれてきたんだろう。ふと、そんな事を考えてしまう。
惨めな気持ちで、玄関の扉を開いた。太陽だけは、そんな私を見透かしたように、容赦なく照りつけた。
「おはよう、綾ちゃん。早いねぇ~! 聡子まだ朝御飯だよ」
「あ、聡子のお父さん。おはようございます」
――浮気……本当なんだろうか? 貴方の為に喧嘩したなんて知ったら、驚くだろうなぁ。
「聡子のお父さん……お母さんとは仲良いですか?」
「唐突に綾ちゃんどうしたの!? 仲が良いに決まってるじゃないか! はははっ」
「そうなんですか? 聡子が言っていたから……」
俯き加減にカマを掛けた。横目で父親の顔をチラ見した。
流石に大人は、このくらいじゃ本性を現さないか。ましてや私は、聡子の友人だと思ってるし、他人だし、子供だしね……。
「聡子が? まさか!」
目が宙に泳いだ。
――変な反応?
「うちもお父さんとりんさんが、喧嘩ばかりでっていう話で、盛り上がったりしてたんですけど……聡子の気のせいなんですね」
「ああ、あの子の思い過ごしだよ。りんさんと、お父さん仲が悪いの? それは大変だね! 良かったら相談にのるよ? 綾ちゃん」
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