第15話

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「そうだ。褒美があるからこそ、働く威力が湧くってもんだ! そうだなぁ~まだ、先生なにもしていないから、ほっぺにちゅーはどうだい? それくらい、お安い御用だろ? 簡単な報酬だろーに」 「きょ、教室で?」 「ああ。早く、早く!」 猿田は薄汚いほっぺたを、こちらに身を屈め、差し出した。 ――どうしよう……頬とはいえ、凄く気色が悪い。あの悪臭を我慢して、キスをしろというの? 無理よ、無理! でも、しなければ私はあの力を貰えない……。 覚悟を決め、目を瞑り、ゆっくりと唇を突き出し、頬へと近づけた。 「なにしてんだ! 綾!」 「るい!?」 ――君のお気に入りの、るい君も容赦しないからね。 猿田は、私にだけ聞こえるようにボソリと呟いた。 「やあ! 並木るい君、おはよう!  山田さん、先生は職員室へ行くからね。悩み事があったら、すぐに言うんだよ?」 肩をぽんぽんっと叩き、るいを睨み付け、教室を出て行った。 ――助かった……味方のはずだけど、やっぱり怖い。 「お前何してんの!? 猿田を受け入れたのか?」 「違うわ、相談していただけ。貴方には関係ないでしょう! もう私に一切関わらないで!」
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