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「晶子、曜子がいなくなった途端これかよ? 抜け駆け、す・る・な! るい、私と一緒にお話しよ~」
麻美は晶子に負けず劣らず、るいの腕を強く引っ張った。
「おい、放せよ!」
私の目の前で、女2人が、るいを左右で取り合っている。
今までは、見たくない争いからは逃げてきた。でも力を持った今は、はっきり言える。
――ムカツク……触るなブス!
「放しなさいよ。ウザイ女ね? 丁度良いわ……みんなに言っておく! これからは、私にそんな態度止めておくことね? 痛い目見るわよ?」
「はぁ? なに言ってんだよ、バイ菌!」
「秋山君、もうその口の利き方は止めてくれない? いい? もう泣いたって曜子は戻ってこないの! 後悔したって遅いのよ! 貴方の恋が叶わなかったのは、私とるいのせいなの? 私だって、苦しめられても、悲しんだのよ? いつまで人の気持ちを踏み躙るのよ! ふざけんじゃないわ!」
気配や人影を消すように、ここで過ごしてきた私は、心の悲鳴のように怒鳴り声を上げた。
頬に一滴の涙がこぼれる。
胸に抱えていた、黒い靄の塊が口から飛び出たようだった。
「聞こえなかったのか? チャイムが鳴ったぞぉ~今日も君達は騒がしいねぇー諸君! 席に着きたまえ!」
――先生……。
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