1484人が本棚に入れています
本棚に追加
「おまえなぁ、大人しく待ってろって言っただろ」
振り返ると、社長がいた。
「…っ…」
頭が混乱してる…。
「…なる?」
私、今仕事中だ…。
「…聞いてるのか?」
ダメだ。いろいろ考えるのは、後にしなきゃ…。
「おい、大丈夫か?なる?」
気づくと社長が私の顔を覗き込んでいた。
「あっ…、だ、大丈夫です…」
私は視線を反らす。
「なる?…なんかあったか?」
「いえ…、何でもないです。会社、戻りましょう」
そう言って歩き出した。
社長も、何も聞かずに歩きだした。
社長が車に乗り込むのを見て、私も、朝と同じように、車に乗った。
そして走りだす。
ダメだ。なんか気持ち悪くなってきたかも…。
そんな私を、社長はちゃんと見ていた。
「なる、おまえの家どこだ?」
「え?」
「おまえ顔真っ青だぞ。…このまま家に帰れ。送ってく」
「あ、大丈夫です。平気で…」
「ダメだ。俺の命令だ。帰れ」
社長は厳しい口調だった。
「…すいません」
最初のコメントを投稿しよう!