優しくしないで-1

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「おまえなぁ、大人しく待ってろって言っただろ」 振り返ると、社長がいた。 「…っ…」 頭が混乱してる…。 「…なる?」 私、今仕事中だ…。 「…聞いてるのか?」 ダメだ。いろいろ考えるのは、後にしなきゃ…。 「おい、大丈夫か?なる?」 気づくと社長が私の顔を覗き込んでいた。 「あっ…、だ、大丈夫です…」 私は視線を反らす。 「なる?…なんかあったか?」 「いえ…、何でもないです。会社、戻りましょう」 そう言って歩き出した。 社長も、何も聞かずに歩きだした。 社長が車に乗り込むのを見て、私も、朝と同じように、車に乗った。 そして走りだす。 ダメだ。なんか気持ち悪くなってきたかも…。 そんな私を、社長はちゃんと見ていた。 「なる、おまえの家どこだ?」 「え?」 「おまえ顔真っ青だぞ。…このまま家に帰れ。送ってく」 「あ、大丈夫です。平気で…」 「ダメだ。俺の命令だ。帰れ」 社長は厳しい口調だった。 「…すいません」
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