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私は、涼太が出ていった玄関のドアを見ていた。
これで、終わり…。
ため息がでる。
あんなにたくさん、愛し合って夢を語りあったのに、ダメになってしまうとこんなもんなのか…。
パッと社長と目があった。
ああ…、なんて気まずい雰囲気…。
「社長…。すいません…。変なとこお見せして…」
慌てていつもの私を振る舞おうとした。
けど、心が追い付かない。
目から次々と溢れてくる。
これじゃ足りないって、心が叫んでいるようだ。
「すいま…せん…。すぐ…おさまり…」
社長は、私の手をグイッと引っ張った。
また腕の中へ。
甘えてはダメだ…。
私は顔を左右に振って、腕の中から出ようとした。
でも、社長の抱く力が強くなるだけで、無意味だった。
「社…長、…離して…」
社長が、ため息をはいたのがわかった。
「泣くな」
…社長、なんだか怒ってる?
そうだよね。
いきなりこんな場面に遭遇してしまったら、誰だって困るもんね…。
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