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私の親友
そこから見上げた空は、一面真っ青に染まっていて、すごく綺麗で。
そこから見下ろす地面は、一面真っ赤に染まっていて…。
真っ赤に染まった地面の真ん中には、私の親友がいる。
私の親友は、アヤという。
アヤは、私なんかと違って、明るくて元気な子だった。
私とアヤは会ってまだ一年も経っていなかったけれど、お互いにお互いを親友だと言い合える仲だった。
私とアヤは、いつも一緒だった。学校はもちろん、放課後も毎日のように遊んでいた。
私は、家の中でアヤと遊ぶのが好きだった。
アヤは、家の外で皆と遊ぶのが好きだった。
私は、読書が好きだった。
アヤは、お洒落が好きだった。
私とアヤは正反対みたいな存在で、でもお互いが一緒にいることだけは絶対に好きだった。
私はアヤと、料理も勉強もスポーツもテストも片付けも遊びも何もかも、一緒だった。
アヤと私は一緒にいるのが当たり前で、一緒に笑い合うのが私達の日常……だった。
アヤと会ってから九ヶ月後。
私はアヤと離れてしまうことを知った。
嫌だった。悲しかった。悔しかった。けど、どうしようもないのは私もアヤも分かっていた。
だからだったのだろうか。
翌日、私はアヤに、いつもは立ち入り禁止のはずの屋上に呼び出された。
「アヤ、屋上は立ち入り禁止だよ。先生に怒られるの嫌だし、早く出ようよ」
「……あのね」
「うん。何?」
私がアヤにそう聞き返した時、もうアヤは動き始めていた。
駆け出して、乗り越えて、こっちを見て、飛んで…。
「さよなら」
その言葉と共に視界から消えたアヤ。私は固まった。
声にもならなかった。動きにもならなかった。ただ、頭の中で「?」と「!」が交差していた。それだけ、衝撃的だった。
ようやく身体が動いて、ふらふらとアヤが飛んだ場所まで身体を引きずる。
申し訳程度の手すりを支えに、私は身体を立ち上がらせる。
立ち上がった拍子に見えた空は泣きたくなるくらい真っ青で、雲の一つもなかった。
そこからアヤが行った方へ目をやると、地面が見えた。
地面は燃えるように真っ赤に染まっていて、その中心にはアヤがいた。
アヤは目を閉じていた。
「…アヤ…どうしたんだろう?目を閉じて、眠っているのかな?あんなに赤いのに、あつくないのかな?アヤ?」
気付けば止め処なく口が勝手に動いて喋っていて、手すりを掴む私の手に力が入っていて、いつの間にか手すりを乗り越えていて…。
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