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「嘘だ……嘘だ……。だって……だって……」
「嘘じゃないよ。証拠、見る?」
男は私の前に一枚の紙をちらつかせた。
「この契約書を読んでごらん」
……契約書……?
契約書と言っても印刷されたものでは無く、文自体も契約者の直筆のようだけど――
『私は五千万円と引き換えに娘を差し出します』
「あ……」
間違いない。
ずっと見てきた。
この字は――お母さんの字。
見たくないと思いつつ、下のサインを見た。
――お母さんの名前。
「この裏にはもうちょっと細かい契約内容と僕の名前も書いてあるけどそれは見せてあげないよ」
男は言った。
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