美音

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「……お姉ちゃんの失敗作ばっか食べてたの?」 そう尋ねたらリッキーは『いえ、美味しかったですよ』と言うかのように尻尾をパタパタと振った。 私は再び日記に目を落とした。 ほとんどノロケ話だ。 読んでも何の手がかりにならないようなもの。 先輩が優しいだのカッコいいだの紳士的だのその割にクールだの料理が上手いだの器用だの……はいはいはい! 良かったですね! 「リッキー……お姉ちゃん、家を出てって幸せだったの?」 そう尋ねたら顎をしゃくった。 『もっと読め』と言うかのように。
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