SUN―Ⅰ―-2

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マスターはマリオネットが覗いていたのに気付かなかったのだろう。 嬉しそうに私の手を引いて、廊下に出た。 リビングに向かい、そして、ピアノの前に私を座らせる。 さっき弾いたとは言え……この人の前で失敗はしたくない。 「最近弾いてないから指が回らないと思うんです。……簡単なもので良いですか?」 「うん、なんでも良いよ」 黒く輝くピアノに、私の肩に手を軽く載せて微笑んでいるマスターの顔が写っている。 私は一呼吸置いて、ピアノを弾き始めた。 お人形の夢と目覚め。 初心者向きの曲だ。
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