それぞれのさよなら―Ⅲ―
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そんな、サンがもう嫌だと言った。 助けたい、と。 ここから出してあげたい、と。 止まっていた思考回路が動き出した。 初めて、自分の命を捨ててでも救いたい命があることを知った。 だから私は、マスターに逆らった。 ドアを開けさせて、サンだけドアの外に出し、ドアを閉めるつもりだった。 そして、拷問を受ける前に舌を噛み切って死のう。 そう思ってたのに。 だから、別れの言葉を言ったのに。
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