それぞれのさよなら―Ⅲ―

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なんとなく右に曲がり、走る。 ガードレールの横は森が広がっている。 どれくらい走っただろうか。 限界が来て、クラクラしてきた。 口が渇いてヒリヒリする。 ただでさえ運動なんてしていなかったのに走り通しだったから呼吸が整えられない。 足の裏はもう、感覚がない。 脚が悲鳴をあげて動かない。 動いてよ……。 私は脚を叩いた。 脚を叩く手にすら力がこもらない。 ガードレールにしがみつくように掴まる。 これなら、なんとか歩ける。
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