それぞれのさよなら―Ⅲ―

9/10
前へ
/20ページ
次へ
こんなゆっくりしか進めないんじゃサンは……。 そう思い、出来るだけ脚の動きを速めようとする。 ……が、よろけてこけてしまう。 一回こけると、立ち上がるのにも時間がかかる。 ゆっくり歩いた方が効率は良さそうだが、気持ちは焦るばかりで、体がいうことを聞いてくれない。 何度も、何度も転んだ。 立ち上がろうとして、ふと前を見たら2つの明かりがこちらに向かって進んでくるのが見えた。 ……車!? 私は気付いてもらえるように必死で手を振ったが、どうやら気付かなかったらしく、せっかく通ったトラックは過ぎて行ってしまった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加