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「あなたの負けね……」
口から血を垂らしながらも、サンは悪態をついてきた。
「僕の負け?死にそうなのによくそんなことが言えるね」
「私は死んでも構わないもの。あなたに従う不自由な生活を強いられるくらいなら、ね」
そう言って、口の端を少し上げる。
笑ったつもりだろうが、痛みで顔が引きつっているため、そうは見えない。
「2人で逃げるって決めたもの。マリオネットはこの家を出ることで逃げることが出来た。私は死ぬことであなたから逃げるわ」
そう言ってから、ポツリと付け足した。
「お姉ちゃんも、私と同じ方法で逃げたんじゃないの?」
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