それぞれのさよなら―Ⅱ―

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『ごめんなさい』 そう言ったイブの顔が僕の頭をよぎった。 「他の子みたいに、逆らったお姉ちゃんを殺したのかと思ってたけど……そうじゃないみたいね」 僕の凍りついた表情を見て、サンは言った。 『あなたのことは大好きです。でも、もう耐えられないです』 ――包丁を自らの腹にあてがって―― 『自殺って、確か天国には行けないんですよね?ちょうど良いです。あなたが天国に行けるとは思えないから。きっと、また地獄で会える』 ――何度も、何度も、自分の腹をザクザクと刺して―― 『逃げて、ごめんなさい』
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