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あの鉄製の扉の中は異常な空間が広がっている。
多分、医師から私の状態も聞いていると思う。
私の背中の傷のことも言ってあるだろう。
監禁中、少なくとも良い生活をさせてもらったわけではないのはわかるだろう。
「……あの家から逃げてきたんですか」
そう尋ねられて頷く。
「……自分の脚で?」
さらに頷く。
「あなたが倒れていたところね、家から10キロ離れたところなの。そんなに走ったなんて……恐かったでしょうね」
女の人がそう言った。
何十キロも走った気がしていたのだが、やはりそんなわけは無かったか……。
考えてみたらフルマラソンだって40キロくらいなわけだし……凄い方か。
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