第2話

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「フッ。今日買ったコミックを読み終えれば、きっと香山君を超える恋愛経験を得れるはず。フフッ。『スキスキ・カンパニー』の未来は明るい!」 時々、犬の散歩をするご婦人方が響の横を通り過ぎる。 そんな事など気付きもせずに、響は一人。語り歩く。 響は全く理解していない。恋愛経験なんて、コミック全巻読んだとしても誰かを想う気持ちが第一歩。響は恋の一歩も進んでいない。 桜の絨毯を歩いた先にある、広い公園。天気の良い明るい午後はこの公園を通って帰る。 そうするようになったのも、恋愛コミックを読み始めた日から。 それまでは本屋で参考書を買い、母親にいわれた道を通って帰る。別に、母親が厳しい訳ではない。今まで景色なんて何にも気にした事もない。響はただ、のほほんと生きてきた。
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