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「俺、朝比奈陵(アサヒナリョウ)」
「えっ?」
突然の自己紹介に響は顔を上げる。いつの間にか、少年は笑っていなかった。
それどころか、すぐ目の前に顔がある。
「人を少年て呼ぶのは今時ありえないよ。それから……」
そう言って響の野暮ったい黒縁メガネを外した。
「このメガネも髪型も今時ありえない。いつの時代の校則を守ってるの?」
陵はニコリと笑う。けれども、響は視力が低い上に涙で滲んでよく見えない。
それなのに、なぜか鼓動が速く脈を打つ。
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