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「あ、あのぅ。メガネを返して頂けますか?」
何も丁寧に言う必要はない。それなのに、自分でも理解できないくらいにバカ丁寧。
陵の足がピタリと止まった。
「どうして?」
「ど、どうしてって、メガネがあれば、手を繋がなくても歩けます。それに……」
「それに?」
「心臓がバクバクいってて、息苦しくて……吐きそう」
陵が慌てて振り返ると、響は顔を真っ赤に染めている。見れば確かに息苦しそうで熱でもあるのかと思わせた。
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