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「なにも、思い出せないんだ。いや、違うね。戦闘のことだけは思い出す。血にまみれた自分の手……そればっかり」
悲しさを隠して精一杯笑ってみせる。まぁもちろんフリだけど。それだけで、リナさんは目に涙を貯める。
「あ、ごめん! 初めて会った人なのに、こんなこと言っちゃって……。でも、なんでだろう、君なら、君になら、聞いて欲しい。そう、思えたんだ」
俺ってハリウッド行けそうじゃないか? この話を聞いたリナさんは、無言で俺を抱きしめる。
背は俺の方が高いけど、多分リナさんの方が歳上なんじゃないか。騙すのは気が引けるけど、正直俺のこれまでの経緯を話しても、信じてはくれないだろう。
あと、その、ね、女性特有のあれがね、やーらかいね。
「辛かったんですね……。大丈夫、今はもう、私がいます」
やっべえリナさんめっちゃいい人だ!あといい匂いする!
「ありがとう、リナさん……」
でも演技は続ける。それが俺。
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