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「おのれ。いち兵士の分際で……」
怒りに震える大臣の隣を使用人が通りかかり、彼女の持つ菓子の入ったバスケットに手を伸ばすと、「それは……」と使用人の制止も聞かずクッキーを口に放り込む。
「ぺぺっ、不味い!! 何だこれは! 馬鹿にしておるのか!!」
その場にクッキーを叩きつけた。
「先程からそこの兵士や使用人……このワシを侮辱しおって!! 無礼であろう!!将軍も将軍ならその下の者は……」
大臣の怒りは頂点に達した。
「……おい、無礼なのはどっちだ。突然やって来たと思ったら文句ばかり言いおって」
だが怒りの頂点に達したのは大臣だけではなかった。その偉そうな大臣の態度にジェイクの低い野太い声が響く。
「き、貴様その口の聞き方は何だ! ワシは大臣だぞ! そのワシに……」
ジェイクに向けた人差し指を震わせる。
「で、その大臣を取ったら誰なんだ?」
ギョロリとした眼光で、大臣を睨みつける。
「ワシはミケルス大臣……」
「だから大臣を取ってみろ」
顔を近づけ、尚も詰め寄る。
「お、覚えておれ。このような真似をしてタダで済むと思うのか」
「覚えておいていいのだな、ミケルス大臣殿。俺はジェイク・ルーニーだ。貴様こそ覚えておけ」
大臣は重そうな自身の体を持ち上げると、護衛の者と共に足早にその場から立ち去った。
その後、大臣の不味いと言ったクッキーをジェイクは美味しそうに「このサクサク感がいい」と満足げに頬張る。
そして、「勝手に他人の物を取るからだ」とジェイクが呟いた。
使用人の話によれば、その日用意されたクッキーは、甘い物と甘さを押さえた物の二種類あったそうだ。
「……で、大臣は何しに来たんだ?」
別室にいたムーアの問いかけに、皆首を傾げた。
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