ジェイク・ルーニーの章

12/18
前へ
/20ページ
次へ
詳しく話を聞くと、昨夜何者かによって暴行を受けたルイスは、今朝方近くの川辺で死体となって発見されたという。 自宅に運ばれたルイスの遺体を目にしたジェイクは、人目も憚(はばか)らず大声で泣き叫んだ。 その遺体のすぐ傍では、五歳になるデイビットと名乗る彼の弟が、神妙に座している。 「兄の仇は必ず取る」 目を赤くしてそう言ったジェイクの背後で、ムーアが頬に十字の傷を持つ彼の護衛官に指示を出した。 それから数刻が経ち日も暮れ始めた時、その護衛官から知らせが入った。 そして、後はお前の仕事だと言わんばかりに、ムーアは黙って立ち去る。 「マウロ、騒ぎを大きくしたくない。数名でよい、使える者を直ぐに集めよ。ルイスの仇を取りに行く」 ジェイクがその十人にも満たない部下と向かったのは、例の商人宅である。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加