ジェイク・ルーニーの章

13/18
前へ
/20ページ
次へ
いち商人の家にしてはあまりにも大きいその屋敷には、かなりの数の私兵を雇っている様子だ。 屋敷入口の護衛を副長のマウロが細身の長剣で素早くかたずけると、「女子供には決して手を出すな」とジェイクはそれだけ告げ、屋敷内へ入っていく。 数に勝るとは言え、選りすぐりの火竜騎士と金で雇われた私兵とでは、勝負は見えていた。 わずか七人の火竜騎士に三十人からなる商人の私兵はことごとく倒され、 その主人は火竜騎士にあっさりと取り押さえられた。 「貴様が命令してルイスを殺害をしたのか」 仁王立ちとなったジェイクが商人を見下ろす。 「あわわわ……」 脅えて声も出ない商人にジェイクの鉄拳が飛んだ。 取り押さえている騎士さえもその一撃の重さに耐えかねず、吹き飛びそうになる。 「早く答えろ。貴様の差し金か」 既に顎が外れて喋りたくとも喋れない状態である。 副長のマウロが商人にペンを持たせ、紙を差し出す。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加