ジェイク・ルーニーの章

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「言いたい事があるならここへ書いたほうがいいぞ」 商人がゆっくりとペンを握るが、震えて上手く文字が書けない。 「黒幕がいるのだろう。そいつを吐けば、楽にしてやるぞ」 ジェイクが拳を再び振り上げた時、その背後から声をかけられた。 「火竜将軍、もうその辺でいいだろ」 振り返ると、内政を取り仕切る最高位のザッケローニ・イバイン宰相が複数の護衛と部屋へ入って来た。 「派手にやりましたな」 その背後には大臣のミケルスの姿もあり、ニヤニヤと笑いながら覗き込むようにジェイクを見つめている。 「ミケルス貴様ぁ!!」 ジェイクが鬼の形相で睨みつける。 ムーアの護衛官の持ってきた情報によると、今回ルイスを殺害したのは商人の手下であるが、それを裏から指示したのがミケルス大臣であるという。 しかし証拠がない為、直接商人から聞き出そうとこの屋敷に乗り込んだのだが、思わぬ人物の登場にこれからどのようになるのか想像できずにいた。 「宰相見ましたか! 大臣のワシにこのような態度。将軍とて許されるものでは……」 「うるさいぞミケルス」 ザッケローニ宰相の静かな一喝が静寂を呼んだ。
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