ジェイク・ルーニーの章

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―数日後― 「旦那様。ムーア様がお越しです」 昼食を食べていると、女中頭マーサが一人の男を連れてきた。 「ふん。この間は余計な事をしてくれたな」 ジェイクが目の前の肉を乱暴に口へ運ぶ。 「何の事だ」 とぼけているのか、本当に心当たりがないのかその表情からは読めない。 「まあ良いわ。それより……挨拶をしなさい」 その声に無人に見えた隣の椅子が音を立てて動く。 「?」 「は、はじめまして。デイビット・ルーニーと申します。この度は大変お世話になりました」 椅子から飛び降りた少年が、礼儀正しくお辞儀をする。 「デイビット……ルーニー?」 ムーアの語尾がを上がる。 「独り身だが息子が出来たわ。がははは」 「ルイス殿の弟さんを旦那様が養子になさったのです」 マーサがムーアに耳打ちをした。
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