ジェイク・ルーニーの章

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今にも陰を押し潰しそうな陽射しの中、上半身を露にした二人の男が、屋敷の庭先で激しく槍と剣を打ち鳴らしていた。 それぞれの得物の先には、厚手の布が巻かれており、訓練であることはわかるが、その二人の熱気は明らかに真剣勝負そのものである。 両者の身体からは暑さもあってか、白い湯気が立ち上っていた。 「はあぁぁ……」 隆隆とした大きな身体で虎髭の男が、腹の底から息を吐く。 「すぅぅぅ……」 その虎髭の男を目の前にして、逆に鋭い目つきの男は息を吸い込んだ。 「ムーアよ、そろそろ片をつけるか」 虎髭の男が、野太い声を突きつける。 「はん。そろそろ限界かジェイク」 男は眉間に皺を寄せ、鋭い目で大男を睨み付けた。 二人の殺気が満ち溢れる。 恐らくお互いこれが最後の一撃となるだろう。 と、構えた時。 「将軍、一大事です!!」一人の若い兵士が大声を上げながら走り寄って来た。
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