ジェイク・ルーニーの章

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「なるほどこの暑さだ、医療所も水や氷など足りなくなろう。街中からできる限りかき集め、各医療所へ届けるよう手配せよ。上には俺から報告しておく」 ジェイクの素早い指示にマーサが感心したように頷く。 「そ、それが、一部の商人が街中の氷や飲み水を買い占め、暴利を貪っているとの事です」 「今何と言った」  聞いたことがある台詞をまた口にした。 詳しい話を聞いたジェイクは、兵士ルイスと共に急ぎ悪徳商人の店へ向かう。すると店先で何やら街の警備隊と商人が言い争っていた。 「何をしている」 ジェイクが厳しい表情で警護隊長に声をかける。 「こ、これはルーニー閣下」 警備隊長ミロードが、突然の火竜将軍ジェイク・ルーニーの出現に驚きの声を上げた。 「あなた様が猛将とお噂のジェイク・ルーニー将軍ですか。ええ所に来てくださいました」 店の主が手の甲を擦りながら、ニヤニヤと頭を下げる。 「何事かと聞いている」 野太い威厳のある声が、周りにいた兵士達を震え上がらせる。
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