ジェイク・ルーニーの章

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「遅い! 一体いつまで待たせる気だ!」 客間では、贅肉でどこからが首か顎かも解らない身体をプルプルと震わせ、大臣が苛立ちを露にテーブルを指でコツコツと鳴らしてした。 「旦那様は只今お越しになりますので、もう少しお待ちください」 女中頭のマーサは焦りを隠しながら、大臣のカップに五杯目の紅茶を注ぐ。 「先程から同じ事を何度も言っておるではないか!! さっさと将軍を連れてこい!!」 ポットを持ったマーサの手を払いのけると、ポットから溢れた紅茶が、大臣の膝にかかった。 「あっ、熱い!! 貴様ぁ!!」 「す、すみません」 マーサが慌てて大臣にお絞りを差し出そうとした時、客間の扉が開いた。 「いやいや、大臣殿。大変お待たせしました」 ジェイクが兵士ルイスを伴い明るい声で部屋へ入ると、ソファーにドカッと腰を下ろした。 「旦那様~」 マーサが安堵の表情で迎える。
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