ジェイク・ルーニーの章

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「遅いぞ!! どれだけ待ったと……」 「で、大臣殿。突然の訪問とはどの様な用件でしょうか?」 大臣の怒りを無視するかの様にジェイクは淡々と話す。 「昨日城下で……」 「昨日の事ならば、問題ございません。暴利を貪っていた商人を懲らしめ、熱中症に苦しむの民を救いましたゆえ」 「半値で全ての商品を持って行ったそうだな」 仏頂面で大臣が問いかける。 「はい、格別安くしてくれると申したので」 「黙れ!! 将軍のその勝手な横暴が、商人達の我が国に対する信用を失わせたのだぞ!!!」 得意気に話すジェイクに対して、大臣が物凄い剣幕で怒鳴りつけた。 「ぬ……」 大臣の勢いに言葉を詰まらせる。 「恐れながら申し上げます。 その商人は独占禁止法の禁を犯した者でございます。全商品の没収でも文句の言えない所、我が将軍のご厚意により半値で商品を買い取ったのです。何も問題はないかと」 突然、ジェイクの隣に立っていたルイスの発言に皆目を丸くした。 普段ならば勝手な発言に怒るジェイクも、小気味の良いルイスの言葉を聞き入っていた。
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