断章Ⅰ

2/3
57人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
「ただいまー」 「お帰り、結佳」 遅くなったことについて怒られると思ったが、お母さんはニッコリと笑って私を見た。 「遅かったわね。どうかしたの?」 「あのね、具合悪そうなお兄さんがいたからお水あるとこまで連れてったの」 「お兄さん?」 「んっとね、隣の雅幸お兄ちゃんが着てるのと同じ服着てた」 当時、私は制服というものを知らなかった。 なんで同じ服を着てるお兄さん・お姉さんがいっぱいいるんだろ、くらいの感情しか持ってなかった。 隣の雅幸お兄ちゃんは地元の進学校に通ってる高校生だった。 「ふーん。ってことは高校生か」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!