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そう言って私からビニール袋を受け取るお母さんの顔は何か企んでいるように見えた。
まるで『そうなることが必然だった』ように。
「……お母さん、見てた?」
「何が?」
台所に向かいながらも、顔はこちらに向けて応えてくれた。
その顔はいつもの優しいお母さんの顔だった。
「なんでもない」
お母さんはきょとんとした表情を浮かべ、それから料理に取り掛かった。
私はテレビをつけ、アニメが放送されているチャンネルに変えた。
そして、この日のことはいつの間にか忘れてしまった。
だから、私とあの人の関係性なんて――
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