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でも、
「僕だって色々隠しているところはあるから君のこと否定できないし、君のこと悪く言って悲劇の主人公になろうってほど人の同情を買うタイプでもない」
ただ、他者の目から見て、惨めでなければ良い。
「じゃあ、僕帰るから」
そう言って歩き始めようとしたら綾香が僕の制服の袖を掴んだ。
「……何?」
「もしもさ、昨日の男の前で嘘をついてて、学校での私の方が本性だとしたらどうする?」
「どうするも何も……」
僕は綾香の手を振り払った。
「どっちも君だろ。君が選んでした行動だ。僕にとって君は嘘つき。それは変わらないよ」
顔も見ずに、そう言った。
だから、綾香がどんな表情をしていたかわからない。
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