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『うち、親厳しいもん』 昨夜、綾香はさらっと言っていたが、綾香はそれが酷く負担だったのかもしれない。 家でも良い子、学校でも良い子。 どこか、はけ口が欲しかったのかもしれない。 遊びたかったのは事実だけど、必要以上に羽目を外し過ぎてしまったのかもしれない。 同情の余地はいくらでもある。 でも、もうどうでも良い。 僕にとって良い子でなかった。 それだけが確かな事実だ。 家につき、鍵を開ける。 ふと、感じる違和感。 ちっとも予測できなかったといえば嘘になる。 家の中から母親のものは一切なくなっていた。
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