呆気ない復讐

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僕は店の奥の方に座っている。 母親と水谷さんの夫と思われる男は割と出入り口に近い席に座ったので僕に気付かなかった。 ……僕の席の前を通ったら気付いたか、と言われると怪しいところだか。 僕の席からだと2人の会話は聞こえない。 まあ……そんなのどうでも良いけどね。 店員に邪魔されない方が良い。 2人が注文したものが届いてから行こう。 逸る気持ちを抑え、プリントを見る。 だが、あまり頭に入らない。 心臓がバクバクしているのが触れないでもわかる。 炭酸ナトリウムをフェノールフタレイン溶液を指示薬として塩酸で滴定したらどうなるかなんて、もう、心底どうでも良くなってきた。
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