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机の上で握りしめられている母親の左手を上から包み込む。
「ねえ、悔しそうな顔をしているけど……怒ってるのは僕だよ?」
グッと、母親の手を潰すかの如く自分の手を握りしめる。
「顔合わせたくないなら口座に振り込んでおいてくれさえすれば良いよ。僕だってお母さんの顔はあまり見たくない」
手をパッと離し、ヒラヒラさせながら言う。
「その顔見てたら潰したくなっちゃうからね」
怯える様な顔に変わった母親に少し優越感を覚えながら立ち上がる。
「じゃあ僕帰るから」
元々自分が座っていた席に行き、荷物をまとめる。
「約束、だからね?破ったらどうなるか味わってみたいって言うなら話は別だけど……僕、もう手加減とかあまり出来ないみたいだから」
すれ違いざまにそう言って店を出た。
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