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「話はつけとくから帰ってて」
ニッコリ笑ったつもりだったが、怯えている兼元の表情から察するに上手く笑えてないようだ。
「あの子、僕の女嫌いの要因の一つなんだ」
そこまで言って手をパッと離す。
兼元は何も言わずに小走りでその場を去った。
「伊織!ちょっと待」
追いかけようとする絢香を制し、微笑む。
「馬鹿な女だね、君も。アイツが君のことどう思ってるかわかってないんだろ?」
哀れな女。
馬鹿な女。
それが、自分が昔好きだった女の子だっただなんて。
過去に戻れるなら高校生だった頃の自分をぶん殴りにいきたいくらいだ。
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