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僕が綾香に会ってから三日経った日。
兼元にしては珍しく遠慮がちに話しかけてきた。
「よしおかくーん……」
親の顔色を窺う子供のような声で、困ったような笑顔を浮かべながら。
「誰だよ、よしおかって」
僕はいつも通り無愛想に答える。
無視しない、イコール怒ってないと解釈したのか兼元は笑顔になった。
「岡本の『おか』と良成の『よし』で、よしおか」
「それはあだ名のつもりかい?普通の苗字みたいじゃないか」
「あだ名なんてその場のノリで定着するもんだ。呼びやすけりゃ何でも良いんだよ」
まあ、確かに、これこれこういう理由でこういうあだ名になりましたと表明するものでもない。
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