55人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
玄関の鍵も内側から開けられないようにするか、なんて考えてたら母親がよたよたとこっちに向かってきた。
「トイレ……どこかわからな……」
「ああ、そこの廊下だよ。ここから二番目の廊下」
指を差してやる。
本人は急いでるつもりなんだろうけど、二日間飲み食いしてない上にずっと同じ体勢をしていたからか、動きは恐ろしく鈍いし滑稽だ。
僕は声を立てて笑った。
しばらく待っていたら母親が戻ってきた。
「何か、飲み物と食べ物をちょうだい……」
「便器の水でも飲んでくれば良かったのに」
僕は蔑むような口調で言った。
最初のコメントを投稿しよう!