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手で顔を覆うこともせず泣きだす母親を、僕は見下すような眼で見ることしかできない。
「女の武器は涙とか言うけどさ、それ、自分にも該当すると思ってるの?醜いだけだよ」
クスクスと笑いながら付け足す。
「って言うか、水欲しいんでしょ?体の水分余計に使わない方が良いんじゃないの?」
へたりと座り込んだ母親を置き去りにして、リビングに向かう。
買ってきていたミネラルウォーターのボトルとパンを取って、母親のところに戻る。
「どっちが欲しい?」
右手に水、左手にパンを持ってヒラヒラさせる。
母親はどう答えようか迷っている。
僕の言い方だと、選ばなかった方は貰えないように聞こえるから当然だろう。
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