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「み、水……」
そう言ったから僕はボトルを母親の方へ転がしてやった。
母親は這ってそれを拾いに行った。
狂ったように水を飲む。
ボトルの中身が空になったところで、僕の方を見る。
「こっちはいらないんでしょ?ハハッ」
僕はパンの袋の封を切って、一口食べた。
「人間、水があれば一ヶ月くらいもつらしいよ?水を選んで正解だったね」
「それも、ちょうだ」
「あげないよ?」
僕はそう言ってパンを食べ続けた。
「そんだけ口が利けるなら充分だもの。僕、まともにお母さんと話がしたいだけだし」
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