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僕は驚いて何も言えなかった。
「私があんたを何で可愛がってなかったか分かる?」
この状況下で、怯えたような眼差しを止めたことに驚いたのか。
「あんたを産んだわけ、教えてあげようか?」
それどころか、敵意に満ちた眼差しで僕を見てきたことに驚いたのか。
「あんたを産んだのはあんたの父親が私との結婚に前向きじゃなかったからよ」
自分でもよくわからない。
「あんたを産んだら結婚してくれるだろうと思ってね。実際、その通りになったわ。上手くいかなくて離婚することになったけどね」
右手の人差し指と親指で輪を作って、言う。
「あんたを引き取ったわけも同じよ。金よ、金」
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