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「養育費を貰うためにあんたを引き取ったけど、あんたは邪魔だった。子育てなんてしたくなかったからね。かと言って世間体悪いのも嫌だったし」
――あの時と一緒だ。
「いっぱい叩いたわね、あんたのこと。いっぱい蹴ったし、酷いことも言ったわね、私。それだけあんたのことが邪魔だったのよ」
僕は何も言い返せない。
「私に似た顔で、無邪気に笑うのが憎かった。かと言って泣かれるのも嫌だった。だって、自分が泣いてるみたいで惨めじゃない。だから、あんたと一緒にいたくなかった」
だって、何を言ってもそれが母親の本心であることに変わりはないわけで。
「だから家事を押し付けて遅くまで帰らなかった。それでも健気に私を信じてるあんたにイライラして」
僕は、母親の顔を思いきり蹴った。
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