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勢い良く蹴ったから母親は一メートルほど床の上を滑った。
僕だって大人だ。
僕の方が体格が良い。
僕の方が力が強い。
なのに、何でだろう。
この人に勝てない。
わかってるからだ。
僕がここで母親を殺しても、もう、母親が二度と口を開くことはないとしても、それは僕が母親の暴言から逃げたことを示すだけで勝ったことにはならない。
鼻が折れたのか、母親は苦しそうに口で呼吸をしている。
「……私の言いたいことは言ってやったわ。どうせ殺すんでしょう?仮にも私の息子だもの。私なら殺すことで口封じするわ。『この事は絶対に話すな』なんて脅し、まるで意味ないし」
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