理想と現実

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「……友達がいなくて暗い人ってこと?」 「上辺だけの付き合いしかしたことがないってこと」 お姉ちゃんは首を横に振りながら言った。 「多分、だけどね。本音をあまり人に言ったことがないんじゃないかな。感情のコントロールの仕方をわかってないのよ」 「お姉ちゃんの話聞いてると危ない人にしか聞こえないよ……」 「危なくないよ。わかってないなら教えてあげれば良いだけだもの。お姉ちゃんだって、悪気のある人とない人の区別くらいはつくんだからね」 「悪気なければ何しても良いってもんじゃないと思うけど――」 壁にかかっている時計に目をやる。 10時を過ぎている。 「お風呂入って寝なさい。そろそろお母さんが怒るよ?」 「そうする」 私は立ち上がった。
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