理想と現実

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自分の部屋に戻り、パジャマを取って、階下に行く。 風呂場に行くためにリビングの前を通ったら、まだお父さんとお母さんが話していた。 「――第一、本当に結婚したいなら挨拶に来るのが筋ってものだろうに」 「反対されるのが分かってるから来にくいんじゃないの?」 「反対されるのが分かってるなら、諦めるか、それでも頑張るかのどっちかだろう。どっちもしないで依舞だけに話をさせるのはおかしいと思わないか?」 「それもそうねえ……」 さっきは怒っていたお父さんの口調はさっきに比べるとのんびりとしている。 「昔からずっと『将来の夢はお嫁さん』なんて言うような子だったけど、十九歳にしてまだ夢見がちなところがあるのねえ」 「それはお前に似たんだろ」 お父さんは笑いながら言った。
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