理想と現実

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「失礼ね」 お母さんはそう言いながらも笑ってる。 「それにしても……また、放っておけなかったんだろうなあ」 お父さんはポツリと言った。 「昔っから虐められてる子に話しかけては自分も虐められたりしてたじゃないか」 「優しい子なのよ」 「そういうのはお人好しって言うんだ」 そう言えば、と昔のことを思い出す。 小学一年生の時のことだ。 廊下の窓からランドセルの中身をぶちまけて笑っている女の子の集団がいた。 後ろから泣きながら走ってきたのはお姉ちゃんだった。 『あいつを庇ったりするあんたが悪いんだ』 そんなことを言われてた。
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