理想と現実

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最低限の荷物しか持っていかなかったとはいえ、見られて嫌なものは持ってくか捨てていくだろうに……と思いながら日記を開く。 何か手掛かりがあればいいんだけど。 パラパラとページをめくってお姉ちゃんの恋愛話を読んでいく。 わかったのは『吉岡』という名前だった。 家出だからって言ってあんま捜してくれてないみたいだけど……相手の名前もわかってるなら少しは協力してくれないかな? 誘拐犯、ってわけじゃないし駄目かな。 んー……でも、きっとこの人も行方不明になってるんだろうから…… 「お父さーん」 私は日記を持って部屋を出、お父さんの元へ向った。 その、吉岡という名前が本当の名前では無いことを知るのは五年後のこと――
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