狂った歯車

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車から降りた依舞は僕の別荘を見て楽しそうな声を上げた。 「広いですねー。あ、このあたりでガーデニングしたら良い感じになりそうですね」 依舞がそう言いながらタタッと走った先は僕が母親を埋めたあたりだった。 「ここに綺麗なお花とか植えて――」 「駄目だ」 依舞の言葉を途中で遮る。 依舞はびっくりしたのか眼を瞬かせた。 「あ……いや、ほら、そこ、大きな木があるだろ?あまり日当たりが良くないから……」 苦し紛れの言い訳をする。 そこには僕が埋めて殺した母親の死体があるからその辺りを掘ったりなんてしないでくれ。 そんなこと、間違っても言えない。 「それにしても……先輩、もしかして結構お金持ちですか?」
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