理想と現実

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「意味が分かんない」 私はお姉ちゃんの腕を掴んだ。 「大学入って彼氏作りたいとは言ってたけど、なんでいきなり結婚なんて話になってるの?お姉ちゃん騙されてるんじゃないの?結婚詐欺とか」 「違うよ」 一足す一がニになる、という当然のことを言うかのようにお姉ちゃんはハッキリと言いきった。 「でも……」 「美音。腕痛いから離して」 「あ、ごめん」 私は言われたとおり腕を離した。 「上行こ。お父さんとお母さんに聞かれたら煩そうだし」 私はそう言って階段を指さした。 二階にあるのはお姉ちゃんの部屋と私の部屋と納戸。 両親に聞かれたくない話をこっそりする時は、大体お姉ちゃんの部屋にいた。 お姉ちゃんの部屋の方が私の部屋より綺麗だから。
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